思考置き場

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こういう考えもあるよってだけです。

デッキの性質と呼称から見るSTR環境

 RAGE付近からなんとなくこういうことを考えていたんですが、他にTwitterで同じような発言をしている人を見かけなかったので試しに書いてみることにしました。結構怪しいところもあるかもしれないけどお許しを。

 

tsurikawa-sv.hatenablog.com

(一応関連記事。特に読まなくてもいいです。)

 

ALT環境

 前環境からの変化についても考えたいのでまずALT環境について触れることにする。

 OoTからALTの大きな変化は純心の歌い手を代表とする優秀なドローソースがなくなったことであった。ALT最初期こそマナリアがトップメタ、その下に大将軍の追加されたロイヤルその他のデッキといった感じだったが(正直ナーフが早すぎてそこまで固定されてなかった気がする)、ミラのコストアップによりマナリアはデッキの方向性変更を余儀なくされる。いわゆる、スペルマナリアから生き物マナリアへの転換である(デッキ内の生き物が増えたということだけ抑えれば足りるので呼称の定義については言及しない)。

 これはALT環境の大きな特徴であり、言うなれば「全デッキがテンポデッキ」になった環境であった。

 

 そもそもドローソースとは通常そのカード自体はテンポをとれていない(今回はテンポ=ボードアドバンテージくらいにしてほしい)。一度盤面を弱くする代わりにリソース(=ハンドリソース)を回復するカードである。現状アイテールや悪夢の始まりといったテンポ損しないドローソース・サーチカードがあるが、あれは例外的であり、ゆえに強いわけである。

 ではなぜかつてドローソースがデッキに入っていたのかというと、一度弱くした盤面を後で取り返すことが可能だった、それができるバリューカードが存在したからである。分かりやすい例がバハムートだが、歌い手という一見弱いカードを入れることが許されたのは、いとも簡単に盤面形成ができるカードが共に入っていたからなのだ。当たり前の話だが歌い手やリザのようなカードだけでデッキを組んだとしてもリソースはなくならないがゲームに勝つことはできないだろう。(このバランスを分かっていない人は多い気がする。ドローソースは無条件に入れていいカードではない。ネクロマンサーを見よ。)

 

 話を戻すと、優秀なドローソースがカードプールからなくなったことでゲーム中にリソースを回復する手段が大幅に減少し、どのデッキも同じような量のリソースで戦うことになり、結果的にボードアドバンテージがデッキの強さ、あるいは勝敗に直接関係するようになったのである。

 

  マナリアウィッチの転換は高バリューを活かすという行為の限界であり、テンポデッキの勝利であった。スペルマナリアは序盤は低コストスペルやオーウェン等のテンポ損する生き物を出しつつ準備をし、中盤以降に進化権とスペルブーストとマナリアシナジーによってテンポを取り返すデッキだった。だがナーフ後はミラのコストアップによりテンポを取り返すまでのロスが大きくなり、結果的に生き物を増やしデッキの最大値を下げつつも序盤のテンポ損を極力回避するアプローチをとることになった。

 その他、ロイヤル、ドラゴン、聖獅子など、どのデッキもテンポ志向であったことは明らかである(AFのみ評価が難しいが、マキナが絡まなければテンポデッキだろう)。

 

STR環境

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 さてこうした流れでSTR環境に突入することになった。変化としては、マナリアとAFが消え、ロイヤルとネクロが強化されたことくらいだろう。以下、各デッキごとに評価する。

ネクロマンサー

 環境初期に流行ったが、前期までとの違いはセレスにある。このカード自身が場持ちの良い生き物であり手札に加わる誓いがアーカスと相性が良いため、「ネクロ一強」とまで言われた。だがセレスに対しての理解が進むと、かえってテンポを失う可能性のあるカードになってしまった(アサルトプリーストが分かりやすい)。結果的にケルベロスのほうがテンポ的には強く、ドローソースを最大限入れてアーカスに寄せ切るということはできないという結論になる。つまりアーカスネクロはテンポをとる必要のあるコンボデッキ、という言い方ができる。

ヴァンパイア

 ここでは蝙蝠のことを指す。悪夢の始まりによって歌い手に代わるドローソースを得たが、鎖の不在を補うことはできていない。鎖は自傷と除去を兼ねたわけだが、代わりに入った口付けは除去の役割しかなく、明らかに自傷カードが足りていない。ゆえに全盛期と比較してリーサルターンは遅くなり、そもそも自傷を稼ぐことができないという事故の割合が増している。

 全盛期の蝙蝠は、基本的には自傷というコンボ要素を持つコントロールデッキだが、フラウロスなどで一気に盤面を形成するというテンポ要素も持っていた。今期の蝙蝠も全盛期と本質は変わっていないが、自傷カードの減少によりコンボ性とコントロール性が軟弱化した。一方悪夢の始まりによりテンポ性は増したと言える(正直微妙なところなので難しい)が、始まりで持ってこれるヴァーナレクなどの生き物は自傷を必要とするため、テンポは悪くないがダラダラとゲームが続く、ということが多い気がする。

ビショップ

 ここでは聖獅子のことを指す。基本的に前環境と変わらない。リソースを増やす手段がほとんどなく、引いたカードで戦う、典型的なテンポデッキである。聖獣とヘクターがそのテンポ性を押し上げており、かつては獅子を成長させなければ勝てなかったものを、聖獣と獅子でテンポをとりヘクターで押し込む、というゲームプランを生み出している。このようにテンポデッキという面が強化された一方、獅子パーツを引き込むドローソースは減り(カードプールにプレイアブルなものがないという理由が主だが)、獅子の成長というコンボ性がメインに据えられているわけではなくなった。つまりこのデッキは、聖獅子の成長コンボを用いたテンポデッキという言い方ができる。

 ちなみに狂信者は一対多交換が可能なAoE、アサルトプリーストは強力な点除去だが、どちらもテンポデッキという性質上は無理をしているカードでもあり、デッキの限界が見てとれる(所詮はメタカードである)。

ロイヤル

 さて本命だが、前環境と変わるのはリーシャ、剣舞、キャノンスマッシャーの追加である。

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 (上がALT、下がSTR。毎環境の終わりに環境デッキをドバスポに登録してるんでALTロイヤルはそこから拾ってきたけどもう全然覚えてないのでカードの採用理由は分からない。)

 前期のロイヤルは同環境に遅めのレンジであるマナリアとAFが存在したこともありテンポを意識せざるを得なかった。またオースレスはテンポの性質に適しており、前期においては優秀な札であった。

 一方今期の追加カードである剣舞とリーシャはともに受けのカードである。剣舞が序盤では機能せず中盤以降のAoE(兼バフ)になること、リーシャが攻撃することによって盤面を形成することを踏まえると、今期のロイヤルが全期と比べて中盤以降のバリューを重視した受けのデッキになっていることが分かる。

 また、2パスが許容されるということも今期のロイヤルを表現している。そもそも2パスが許されるのは3コストのスタッツゆえだが、もう1つに、なるべくバリューを高く使うという行動指針がある。2パスをし、可変コストのカードを高バリューで使う、そしてそれができる強さのあるデッキになったと言える。つまり、前期テンポデッキであったロイヤルは今期ミッドレンジデッキになった、と表現できるわけである(正確にはテンポプランもとることができるミッドレンジくらいが適切だろう)。

 

 総評

 今期はロイヤル一強環境だが、こうしてみると当然であるようにも感じる。テンポデッキをアグロとミッドレンジの中間くらいと見なせば(この区分については諸説あるが)、テンポ対ミッドレンジにおいてゲームの進行とともにミッドレンジ側が受けから攻めへと変化していくことになるだろうが、今期であれば獅子対ロイヤルが好例であり、それぞれの勝ち方・負け方を考えてみれば分かりやすいかもしれない。

 前環境に全デッキがテンポデッキだった状況から今期ロイヤルのみがミッドレンジデッキとなり、バリューを活かした対応力を見せることができるようになったのだ。

 

 もちろん実際のゲームはここまで分かりやすくなければ綺麗に分類できるものでもないとは思っている。そもそもテンポデッキというのが曖昧だし、後付け的な理論を含んでいることも否めない。だが他でこういったことを書いたものがあまりなかったため、何か思考の足しになればと思い、記しておくことにしました。

ではまた。